市民活動団体 民具製作技術保存会

会の目的と成り立ち

民技会・会章
高度経済成長の昭和30年代、それまで私たちの生活のなかに古くから伝えられてきた多くの習慣や物(もの)が、排除され忘れられてしまいました。科学・技術の進歩は私たちの生命さえも脅かそうとしています。そこで、限りある資源を有効利用し、自然と共生してきた祖先の生活の知恵が改めて見直されています。先人が生活の中から生み出した日用品には機械で作られた物にはない、地球環境にも人にも優しいよさと温かみがあります。これらの道具は実用品であり、私たちがつくれるものでもあります。これらを民具と呼んでおり、そのつくり方を正しく習い、後世へ伝えようというのが民具製作技術保存会(略称:民技会)の目的です。

本会はこのような目的のもとに、昭和48年(1973年)10月に発足しました。具体的には、生活の道具である民具、中でもとくに消耗しやすい日用品の製作技術を主眼に、わら細工、竹細工、はた織りが取り入れられました。民技会の実技中心の活動はきわめてユニークなものとして注目されています。

会発足当時の目的は民具の製作技術そのものの伝承でしたが、今ではもっと積極的に、自然の素材の特性と長所を活かしてきた先人の知恵を学びとることも大事だと考えています。

当会の日常活動は民家園内の古民家を会場に実施しています。

手仕事の楽しみ(会の行事)

手仕事とは、みんなで作業をしながら、その中でお互いの技術を取り入れ体で覚えていくものです。会では、先生がいて教わるというものではなく、会員一人ひとりが研究し、みんなで協力して物をつくっていく、そんなシステムをとっています。自分で工夫して物ができあがっていく、その喜びと感激は、受動的な「習う」「教わる」というものにはない、確かな充実感があります。

会の行事には、会員誰もが気楽に参加できる全員参加行事、より深く専門的な、わら細工、竹細工、はた織の実技グループ行事と、文字によって普及・保存を目的とする研究・編集部の活動があります。

各グループの紹介

はた織グループ

機(はた)の台数が限られているので協同作業となります。はた織りそのものは単純な作業なので誰にでもできます。糸を掛ける前に色や柄のデザインにはじまり、糸の種類、所要量の計算など、センスと技術の両方が要求されます。最初はテーブルセンターや小物類などをから作り、いずれは反物から和服を作ることもできます。

竹細工グループ

わら細工が入門しやすく、奥が深いのに対して、竹細工は編むのは比較的容易ですが、その前の材料ごしらえに熟練を要します。しかし、竹ザル等は今でも日常生活の中に生きており、プラスチックスや金属製品に無い良さがあります。最初のハードルを乗りこえれば楽しみの多いグループです。

わら細工グループ

手仕事として最もポピュラーなものです。わら製品が日常生活から姿を消したとはいえ、家庭でも使えるものがまだ沢山あります。(グループ員がきわめて多くの製作技術を持っているので、各人の技術に応じた物を作ることが出来ます。)

研究・編集部

手仕事の技術を、わかりやすい文章と図解で説明した「民具のつくり方」シリーズの編集と発行をしています。現在までに46冊を発行し、今後も続刊を検討中です。このシリーズは技術の伝承を明示した民具学的にユニークなものであると同時に、実技グループによる技術的裏づけのある本なので、各地で講習会のテキストとして使われているようです。

入会・会費

入会資格に制限はありません。どなたでも入会できます。詳しいことは活動日(※民家園カレンダーの民具製作実演日)にご来園のうえ、直接会員までお問い合わせください(入園時は入園料がかかります)。
  • 会費は年間2,000円です。
  • その他、グループに所属すると、それぞれのグループ費が別途必要になります。

会員の特典

  • その年度内有効の会員証が交付され、会およびグループ行事に参加の際は、受付に提示する事により民家園の入園料が免除されます。
  • 会で発行の「民具のつくり方」シリーズが会員価格で入手できます。
  • 調査・研究の成果などを発表することができます。

※民具製作技術保存会へのよくある質問については、PDFをご用意しております。
(ファイルをダウンロード)こちらをご覧ください。(PDF形式・129KB)

民技会・会章について

民技会・会章
民技会の3つの実技、わら、竹、はた織をあらわしています。竹で外側の丸をかたちづくり、中央にわらじの芯縄の掛け方を、それに重ねてはた織杼をあしらったもので、昭和50年(1975年)に会員より募集したものから選定しました。